フードメディア・ディレクターの福田美佐子です。2025年12月訪問。
大船の「ライプン」での間借り時代から、気になっていたメキシコ料理店「Splice(スプライス)」。鎌倉の御成に待望の実店舗を構えられたと聞き、地元の友人たちとの忘年会を兼ねてようやく伺うことができました。

お店はこぢんまりとしていながらも、カジュアルで抜群にセンスの良い空間です。地元のゲストが肩の力を抜いて楽しむ姿が印象的で、鎌倉らしい穏やかな時間が流れています。

こちらの料理の魅力は、何と言っても素材を活かした「優しい味」にあります。ナチュールワインのデリケートな香りを邪魔せず、むしろ寄り添うような一皿一皿に、店主の温かな想いを感じます。

まずは、蓮根とベーコンのグリルから。蓮根の心地よい食感とベーコンの旨みが、ナチュールワインの最初の一杯にそっと寄り添います。

次にいただいた自家製フライドポテトとセミドライトマトは、ホクホクのポテトをトマトの優しい酸味が引き立て、シンプルながらも奥行きのある味わいです。

エビとスパイスのフリットは、サクッとした食感とともにスパイスの香りがふわりと鼻を抜け、ワインを誘います。
続くアスパラとアボカドのワカモレディップは、アボカドのクリーミーなコクにアスパラの甘みが重なり、そのフレッシュな味わいが身体の隅々まで染み渡るようです。

そして、いよいよ主役のタコスです。トルティーヤは伝統的なマサ粉だけでなく、香ばしい「そば粉」からも選べるのが嬉しいポイントです。
カルニータスやスアデロといった王道の具材も、味付けが非常に優しく、素材の持ち味が最大限に引き出されています。

特にメジマグロのコンフィと春菊タルタルは、洋と和が融合したかのような洗練された味わいで、厳選された自然派ワインとの相性も抜群でした。

この日はワインを3杯ほどいただき、美味しい料理と会話を満喫しました。スタッフの方々のホスピタリティが素晴らしく、ただただ感激するばかりでした。
美味しいタコス、身体に優しい味わい、そして心尽くしのホスピタリティ。鎌倉の夜を穏やかに彩ってくれる、再訪せずにはいられないとっておきの一軒です。